Xcode4に寄せて
Xcode4は、それまで馴染み深かったXcode3から、大きな変化を遂げました。
開発ツールのこのような大きな変化は、実は、これまでやってきた開発者にとってはショックです。
「開発ツールを開発するみなさん」が、素晴らしいと思っている変更は、えてして、それまでの使用者にとっては、勝手に加えられた余計は変更に思えます。
そんなわけで筆者もXcode4の登場、それも提供方法まで変更された事態にだいぶ苛立っていました。それが2011年3月10日あたり。そして11日が東日本大震災でした。
筆者の居住地は実質的な被害はありませんでしたが、あのような事態に以前と同じ気分でいられるわけがありません。そんな筆者が震災後の数日間をどうして過ごしたかというと、このXcode4にひたすら取り組んでいました。
あれだけめんどくさかったXcode4は、実はだいぶおかしな動作があったのですが、気持ちを保つ強い味方になってくれました。
その後ちょっと離れていたXcode4ですが、アップデートしてバグもだいぶ減ったこれに、新たな気持ちで取り組んでいます。
このXcodeのアイコンを見るたびに、震災で命や夢を奪われた人のことを考え、これからの日本のことを考えます。傷ついて怯えるこの国にはもっともっと技術が必要、どんな技術でも必要という想いが生じます。そんな中もう充分いい年をこいた自分にできるのは技術の、というより技術の入り口の解説しかないという結論を再確認します。
Xcodeは筆者にとってそんな特別な想いの対象になりました。