「はじめてのXen」をSUSE Linux Enterprise 10 Serverで実践するには


SUSE Linux Enterprise 10 試用版の入手

SUSE Linux Enterprise 10はノベル社の製品です。ノベル社のサイトのトップページから、製品SUSE Linux Enterpriseへのページに入れば、容易に評価版のダウンロードリンクに到達できるでしょう。
ここでは、「SUSE Linux Enterprise Server」だけでなく「SUSE Linux Enterprise Desktop(SLED)」もダウンロードするとよいでしょう。なぜなら、「Server」にはサーバ用のツールが主に備わっていて、デスクトップツールはあまりありません。ですから仮想マシンにSUSEをインストールしようという場合、同じ「Server」ではあまり面白くないからです。「SUSE Linux Server」のXenで「SUSE Linux Desktop」の仮想マシンを走らせ、そのオフィスや画像エディタやゲームを使って見るほうがステキでしょう。両者は兄弟OSですから、そんなこともカンタンにできます。

SLESのインストール(本書pp.33-43)

SLESのインストールは「はじめてのXen」で述べたSUSE Linux 9.3のインストール法とほとんど変わりません。同様に、ハードディスクの領域に空きを残してインストールするとよいでしょう。
インストールするソフトウェアのフィルタはSUSE Linux 10.1までは「選択項目」を選んでいましたが、SLESおよびSLEDではその呼び名だけが「パターン」に変わっています。このフィルタで得られた項目のリストから「Xen仮想マシンホスト」にチェックを入れます。


なお、上図では何かコンパイルするときのために「C/C++Compiler」にもチェックをつけてあります。


SLESの標準デスクトップはGnomeです。これには「リモートデスクトップにアクセスする」ツールが含まれていません。そこで本書でも重宝したKDEのツール「Krdc」をインストールします。これには、kdenetwork3-vncというパッケージを指定します。フィルタを「検索」に切り替えて「vnc」などのキーワードで検索すればすぐに見つかります。なお、このインストールはあとから行っても支障ありません。


オンラインアップデートは試用期間内は可能ですが、「Xenを試すだけ」であれば、必要ないでしょう。筆者の環境では、行っていません。もしお使いのマシンでXenがうまく動かないときのであれば、やってみてください。


仮想マシンのテスト(pp.48-pp.66)

「はじめてのXen」をSUSE10.1で実践する方法と同様です。


「ディレクトリへのインストール」で、ServerではなくDesktopをインストールできるようにする(pp.73-75)

SUSE9.3で「Installation into Directory for XEN」という名前だったYaSTの機能で、インストールCDからイメージファイル(をマウントしたディレクトリ)へ直接ファイルシステムのインストールを行うものです。これをちょっと工夫します。

重要! 起動した追加ドメインでYaSTを操作する方法(pp.80-87)

追加ドメインを初めて起動すると日本語のYaSTが表示されますが,これがSLESのターミナルでは悲惨な文字化けを起こします。これを防ぐために以下のことを行って下さい。
また、この環境では設定の書き込みにえらく時間のかかる過程があります。HDDのアクセスランプがつきっぱなしになるかも知れません。何が行なわれているのか筆者にもわかりませんが、数分放っておけば進みますから、基本的に本書の通りに設定を進めて下さい。 あとは、ドメイン0にインストールしたKrdcから接続します。


「ただし」がもうひとつあります。ドメイン0のYaSTの管理画面に現れた仮想マシンの名前は、この仮想マシンをシャットダウンするとリストから消えてしまいます。理由は、YaSTではなくわれわれが自分で書いた設定ファイルを使用して起動しているからです。再び手作業で起動するとリストに現れます。ですから、起動はあくまでSLESのコンソールから行っておき、仮想マシンのコンソールを見たいときにはドメイン0のYaSTの管理画面を用いるようにします。あっちゃこっちゃな方法で恐縮です。

筆者の環境では別パーテイションにインストールしたFedora5のファイルシステムを仮想マシンで走らせることもできています。方法はSUSE1O.1の場合と同じです。なお、Fedora5は初回リリ一スのバージョンをインストールしたまま、Xenもインス卜一ルディスクのパッケージを用いました。